ITILとは、一般的に企業のIT運用を適正に推進していくための道標になります。具体的には、会社のIT運用責任者が参考にすべき管理運用マニュアルなのです。そのマニュアルは成果事例であり、あくまでも参考として捉え、企業の規模と性格に当てはめ、現状の問題と課題に応じ改善具体策を起案しながら対処を繰り返していくIT業務サイクルの構築メソッドと考えます。従って、IT管理運用のマネジメント実践ガイドであり、問題を解決するコンサルタントや新しい手段とは異なります。中心となるのは管理運用者です。日常的に実践すべき取組みをはじめ中長期的展望から方針を打ち出し、タスクとして明確化します。そしてタスク実現にむけプロセス計画を立案させ、必要となる教育訓練や仕組みを整え標準化しておくことが肝要です。結論としてITILは規格化されたものでなく、企業の置かれた状況によって必要になる独自のITマネジメントと考えます。

ITILの基本的知識と目的や役割について

ITILには、IT運用に関する成果事例が詰め込まれており、そこには成功した秘訣や失敗しないためのヒント等が凝縮されています。日常的業務における失敗などが、提供する業務サービスのクオリティを低下させ、結果として契約先の信用信頼を失墜させます。その失敗などの原因や可能性のある起因事項をリスクとして管理し、仮にIT業務サービスに支障を来すトラブルが発生してもスピーディーに通常のIT業務サービスを復旧させることが重要です。その際、IT運用部門と関連部門の連携対処が必要となります。従って、独自のIT運用マニュアルには部門間の情報共有化が必須となります。このようにトラブルを最小限に止めるためにITILが存在します。加えて、一旦、策定されたIT運用マニュアルは完成でなく、常に、改善が必要となってきます。携わる人の教育や運用コスト、効率見直しなど様々な課題や問題が点在しているためです。

ITILの導入に向けて留意すべき点

企業にとって、ITILの真髄を取り込んだIT運用マニュアルを構築したならば、IT業務サイクルは標準化され、効果性の高いサービス提供が持続されると考えます。しかしながら、初期導入段階から完璧な仕様は不可能であり、企業の実力を冷静に判断し、どの分野に効果を求めるのか見極めることがITIL導入の際のポイントとなります。まず、IT業務の基準や運用細則を設定し、派生する役割や責任を明確化する事です。次に、業務に従事する人の必要スキル向上と取組み意欲を掻き立てる施策が求められます。また、効率改善に繋ぐべく業務コントロールも大切な視点となります。この3点がバランス良くIT運用マニュアルに反映され、運用組織対応が十分に機能してこそ、成果創出をもたらし継続的なITサービスの実践への秘訣と考えます。