ITILとは、簡単に言えば、ITサービスをマネジメントする際のガイドラインがまとめられたものです。ITサービスを運用する現場では、近年ITILを取り入れてIT投資に見合った効果を得られるようにする動きが出てきており、ITILの理解度を図る資格試験であるITIL試験もあります。ではITサービスのマネジメントとはどういうものかというと、ITを運用する企業のITに関する全般をバランスよく運営できるよう管理することです。このITサービスマネジメントをする上での教科書のようなものが、ITILになります。ITILとは、Information,Technology,Infrastructure,Libraryのことで、直訳すると、ITの基盤の図書館となります。つまりITサービスをマネジメントする際の基盤を集めたものということです。
ITILの5つの重要なアプローチとは
ITILにはサービスストラテジ(全体方針や戦略)、サービスデザイン(業務設計)、サービストランジション(運営準備)、サービスオペレーション(実際の業務運営)、継続的サービス改善(業務の運営状況の測定と報告をし、改善サポートをする)という5つの重要なアプローチがあります。この5つは、企業が目標を明確に確認し目標を達成するための戦略を策定し、サービスの役割、品質、方向性を戦略とバランスを取りながら決定し、それを達成するために必要なものや人を揃え、そのサービスが正確に運営できるよう準備し、サービスが滞りなく回るように管理し、サービスが役立っているかを測定して報告をし、改善していく、というように一連のサイクルとしてつながっています。この一連のサイクルをITマネージメントといい、ITILは、このITマネージメントを効率的に行うための事例集のようなものになります。
ITILを活用したITマネージメントの利点
ITILにはITILをもとにしたISO20000という国際規格があり、自社のITサービスマネージメントの仕組みが適切であることを第三者機関によって示すことができ、顧客に、安定したITサービスを提供することや、品質向上に役立てることができます。またシステム運用者にとっては、対処の手順事例があることによって、予測できないデマンドを軽減することができ、重複作業がなくなり、日常業務に効率的に対応できるようになるというメリットもあります。業務を効率的に行えるようになると、貴重な人的資源を確保しやすくなります。また、経営者の観点からのメリットは、IT運用にかかる費用や作業量を正確に算出できるようになり、人員の配置や投資計画を立てる材料として活用することで、サービスのレベルを下げることなく、コストを削減することができます。